遺伝を超える平均への回帰:ゴールトンの発見【東京情報大学・嵜山陽二郎博士のAIデータサイエンス講座】 | Google Gemini・Python・エクセルを使った講義で最速マスター

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遺伝を超える平均への回帰:ゴールトンの発見【東京情報大学・嵜山陽二郎博士のAIデータサイエンス講座】

遺伝を超える平均への回帰:ゴールトンの発見【東京情報大学・嵜山陽二郎博士のAIデータサイエンス講座】
イギリスの遺伝学者F.ゴールトンは、異常に高いまたは低い身長を持つ父親の家族を研究し、「平均への回帰」という現象を発見しました。これは、父親の極端な身長が必ずしも息子に遺伝せず、世代を重ねるごとに集団の平均に近づくことを示しています。ゴールトンは、この傾向をグラフで示し、身長の高い父親の息子が父親ほど高くないことを確認しました。この研究で「回帰」という統計用語が初めて使用され、自然現象に基づいた概念が統計学に取り入れられた点が注目されています。

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目次  遺伝を超える平均への回帰:ゴールトンの発見【東京情報大学・嵜山陽二郎博士のAIデータサイエンス講座】


巨人と小人


父親の身長がその息子の身長にどのように遺伝するのでしょうか。


もちろん、成人したときの息子の身長に対してです。


遺伝の法則というものがある以上、身長の高い父親の息子は、父親に似れば身長が高いはずです。


しかし、まったく同じということもあり得ません。


何人か息子がいればそれぞれ身長は違うでしょう。


兄弟の身長にはバラツキ、すなわち個人差があります。


では息子が一人の場合はどうでしょうか。


そのような場合もあるので、個人個人ではなく、同じ身長の父親をたくさん集めてグループとして観察すると、その息子たちの身長は全体としてバラツキをもちます。
では、息子たちの身長は父親の身長の上下にばらつくと仮定しましょう。


この仮定はしごくもっともらしいですが、この仮定を認めると大変なことが起こります。


身長の高い父親からは、さらに身長の高い息子が生まれる可能性があります。


その息子が父親となってさらに身長の高い息子が生まれます。


そうなると限りなくなります。


その反対の、身長の低い場合も同様です。


人類の身長の集団としてのバラツキは、世代とともにどんどん大きくなって、3m以上の巨人や1m以下の小人が、いくらでも切りなく出現するようになってしまいます。


したがって息子たちの身長は父親の身長の上下にばらつくという仮定はよくないといえます。



平均への回帰(regression)


それでは仮定を変えて、身長の高い息子は父親ほど身長は高くなく、反対に身長の低い父親の息子は父親ほど身長が低くはないものとしましょう。


すると、世代とともに、全体としてのバラツキ、つまり身長の個人差はどんどん小さくなって、いつかは皆平均化してしまうように思われます。


しかし、かなり身長の高い父親の息子でも、バラツキがあるために父親くらいの身長の息子がまれに生まれます。


そのまた息子の身長も、まれに親の身長と同じくらいになります。


したがって、それが人類の身長の上限になります。下限についても同様です。


イギリスの遺伝学者F.ゴールトン(1822-1911)は、イギリスの1000あまりの世帯について、同じ身長をもつ父親の息子たちの平均身長をグラフに描いてみて、「身長の高い父親の息子の平均身長は、その父親ほど高くない」または「身長の低い父親の息子たちの平均は、その父親ほど低くない」ことに気がつきました。


すなわち、「平均値から遠くはなれた身長をもつ父親の息子たちの平均身長は、全集団の平均値に近づく」という傾向を見出したのです。


そして、これを平均への回帰(regression)現象と呼びました。


このとき、回帰という言葉が初めて統計学に現れたのです。


この言葉は、もとに戻るという意味で、サケが生まれた川に戻ってくる場合などに用いられています。


また夏至、冬至に頭の上に太陽がくる地球上の位置が、北、南回帰線と呼ばれているのは、太陽がそこまで来て戻るからです。


偏差とか相関とか無味乾燥な用語がほとんどを占める統計学に、このような魚や太陽をイメージさせる言葉がそのまま取り入れられているのは面白いといえます。



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